卒業生の声(リワーク/転職)

Y.Sさん(20代:男性)

社会に出て以来、目標を見失い、悶々と働き続けていた私は、転職先でほどなくしてメンタルダウンしてしまいました。

そんな中、当時在籍していた企業の臨床心理士から紹介されたのがリファインでした。適応障害と診断され、比較的症状も軽かった私にとっては、休職中に家に閉じこもるよりも少しはましだろうという程度の認識で体験に伺ったのを覚えています。通所を開始してしばらくは、「私は症状も軽いし、家族に余計な心配をかけたくない。数か月通って出ていこう」とすら考えていました。

しかし日々のグループワークやスタッフ面談などを通して自己理解が深まっていく中で、徐々に今まで他責ばかりでふたをしていた自身の未熟さ、思考の偏りというものに少しずつ気が付いていく自分がいました。そしてこの時間を単なるつなぎの場としてではなく、長い人生をイキイキと過ごしていくための自分磨きの場としようと決め、自分と向き合い続けました。

リファインでは、自己理解の集大成として「自分取扱説明書」を作成することとなっています。これはこれまでの人生の振り返り、自己理解を経て改めて自分はどんな人間なのか、

それを踏まえてこれからどんな人生を歩んでいきたいのか、等を記したいわば「自分の自分による自分のための」人生の羅針盤です

私の場合はギリギリまでアップデートを繰り返し、やっと納得のいくものが出来上がりました。自らの過去を内省し、今を見つめ、未来を見据えるという作業は生半可な思いではやり遂げることはできませんでした。なぜならそこには自分の人生へのオーナーシップが強く求められるからです。しかし苦労の分、誰よりも自分自身が腹落ちするまで推敲し続けた世界に一つだけの取扱説明書は、今後の私の人生にとって大きな味方になってくれるだろうと信じています。

転職活動は私にとって、自らの課題と向き合う絶好の機会でした。その課題とは、主体性の欠如によって他人の意見や物差しに翻弄され意思決定をしてしまい、「すぐに隣の芝生が青くなる」ということでした。

そこで転職活動を行う上で、「自分はいったい将来どうなっていたいのか」、「どんなことをやりたいのか」等、他人の価値基準ではなく自分軸に徹底的に立ち返り考えることにこだわりました。途中、自らの決めた軸がぐらつき、思うように就職活動が進まない時期もありました。しかしそのたびに代表をはじめとしたスタッフの皆さまと何度も話し合い、今一度自分の決めた軸に立ち返るという作業を繰り返しました。

結果的に複数社内定をいただいた中で、他の誰の意見にながされるでもなく、自分が一番納得のいく企業への就職を決断することができました。

結果的に約1年間リファインにお世話になりましたが、復職ではなく転職に舵を切りなおしたり、家族とのトラブルで気分がどん底まで落ちたり、うまく自己理解が進まず自己嫌悪になったりと、本当に色々な壁が私の前に現れました。しかし、そのたびに根気よく私を支えてくださったスタッフの皆さま、そして痛みを分かち合い、ともに日々自己理解に勤しんだ通所者の皆さまのおかげで、自分らしさを取り戻すことができました。今まで他人の価値観に振り回され続けてきた私が、初めて「自分はどうしたいのか」と主体的に考えることができました。リファインでの経験がなければ、きっと今でも私は生きづらさを周囲や環境のせいにして、悶々と生き続けていたことでしょう。人生においてこの時間は決して遠回りではなかったと、心の底から思っております。

本当にありがとうございました。