卒業生の声(リワーク/転職)

Y.Nさん(20代:男性)

うつ病ー
自分には馴染みのない、どこか心の弱い人がかかる無縁のものだと思っていました。

ことの発端は転職です。

前職ではそれなりにタフな仕事もこなしたし、大手顧客を若干二年目で担当し、実績も残してきました。成功体験を積んだと思っていました。
しかし転職先では、その積み上げてきた成功体験がけんもほろろに通用しない。今までのキャリアやひいては人格まで全否定されたように感じました。

普段は何事も前向きに考えることが多い性格なのだが、その時ばかりは頭の中で自責という名の自傷行為を繰り返していました。
「中途採用で即戦力として入社したのに」
「みんなから白い目で見られている」
「もうこの職場に自分の居場所がない」

自意識過剰がさらに加速し、人に話しかけることすら神経質になっていきました。
仕事ではしだいに本来は口で告げればいい内容をメールにする…、人に頼みづらいことが増えて担当外の仕事まで自分でこなしてしまう…、そんな状態。

当然仕事が上手く運ぶ訳もなく、加えて運が悪かったことに、新しく任された仕事で顧客への数百万円の誤請求でクレームになるなど、予期せぬトラブルが数々続いたのも致命的でした。

結果的に会社に行くことが出来ず、お客さんとのアポや社内の重要なミーティングを全てキャンセル。その日を境に人との接触を一切断りました。上司や同僚、顧客、家族でさえもです。
気付いたら携帯の電池を抜いており、自分を守るために社会人失格と言われるレベルまで思いっきり逃げました。

そこから数日間は家どころかベッドから出ることが出来ず、まさに生きてるか死んでるかわからない生活を送ることになります。こうやって人は堕ちていくのかと思い知りました。
その後ようやく、重い腰を上げて心療内科に通院。幸い早期で症状も重度ではなかったため、軽い精神安定の薬の処方で症状は徐々に回復していきました。

ある程度体調も戻ってきたところで会社の人事から紹介いただいたのが、ここリファイン就労支援センターです。

実はそのころ心療内科の主治医から復職可の診断書が出ており体調的には復職できている状態にまで回復していました。
しかし「本当に復職して大丈夫か?」という人事の方の問いかけに、その時の自分は何も答えることが出来ませんでした。復職への確証がどうしても欲しかった。その為の施設があるというのなら行かない手はない。

藁をもすがる思いで行ったリファイン体験初日、目を丸くしたのが、とてもメンタルヘルス不全に陥った方が集まっているとは思えない和気藹々とした雰囲気と、闊達な議論が繰り広げられている光景でした。

リファインは認知行動療法をベースとしたグループワークを中心のプログラムなのですが、そこで何よりも衝撃的だったのは、ストレスは出来事から来るものではなく、その出来事を受けてどう感じるか(=認知)によるものだということ。初日の講義を受けた自分は膝を打って必死にメモを取りました。

「転職」や「仕事の失敗」というのは単なる中立の出来事に過ぎず、そこから自分がどういう認知をしたのかがストレスの大きな要因になる。私はその出来事にネガティブな意味付けをしたことで、自分を苦しめていたことが分かりました。

そんなネガティブに傾く認知の歪みが何なのか?それはどういう気質や性格から来ているか?その気質や性格が形成されるに至った背景は何か?その答えが結果的に自己理解につながることになります。

精神病理専門家や臨床心理士が監修する充実したプログラムや、通所者の自発性を引き出しいつでも親身になって私たち通所者に向き合ってくれるリファインスタッフ、気心知れた同じ境遇の通所者の方々とのコミュニケーションを通して、ひたすら自分と向き合いました。
向き合えば向き合うたび、弱い自分に何度も嫌気がさすこともありましまが、それでも目を背けず、内面を深く見つめ直すことができました。

こうした自己分析とそれを踏まえた再発防止策を講じたものが自分の取扱説明書です。現時点での取扱説明書を完成させた今、これからの生きる指針ができ、社会という海で溺れた時の浮き輪になると確信しています。

また、その取扱説明書の中で立てた将来のビジョンから逆算し、今の会社や職務を接続できた時、転職活動も視野に入れていた自分にとってようやく復職が自己実現に向けて必要なステップとなりました。

今は復職の確証を持って第一歩を踏み出せています。
不安が全くないと言ったら嘘になりますが、リファインを通じて出会ったたくさんの方々が応援して頂けていることほど心強いものはありません。

最後に、リファインではメンタルヘルス不全になった原因はもちろん、私がメンタルヘルス不全になった意味までも教えてくれました。

井田代表を始め、リファインスタッフの皆様方、通所者の皆様方に心より感謝申し上げます。
そしてこの文章を最後まで読んでいただいた方の、一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。