卒業生の声(リワーク/転職)

S.M.さん(30代:男性)

双極性障害を発症し、休職期間満了を経て転職をしました。

リファインに通うことができて良かったと考えています。卒業までは簡単な道のりではありませんでしたが、それに見合うだけのものを得ました。

リファインの門を叩くきっかけになったのは、主治医の勧めでした。再発を防ぐために、認知行動療法に取り組むようにとのことでした。

メンタル不全の方々が集まる場所ということで、正直なところ怖さがあったのですが、スタッフさんの丁寧な説明と、面倒をみてくれた利用者さんの優しさに安心感を得ました。グループワーク・カウンセリング・就労支援をまとめて受けられるとのことで、入所を決めました。

始めのうちは病状が悪く、通所することもままなりませんでしたが、「まずは来るだけでもい良い」という目標のもと、徐々に通所できる頻度が上がっていきました。何事も小さなことから積み重ねていくことが大事だということに気づきました。

グループワークに参加するようになりましたが、当初は勝手がわからず、人見知りもあってなかなか上手く表現することができませんでした。しかし皆に平等に発言の機会があり、少々外れた意見を言っても寛容に扱ってくれることが分かり、少しずつ自己開示が進んでいきました。いろいろな背景を持った利用者とかかわりを持つことで、たくさんの気づきがありました。

カウンセリングも充実しています。対話することで病状を客観的に整理できます。今時点で抱えている問題をさりげなく気づかせてもらうことができます。事情があってスタッフさんには言えないような悩みでも、秘密厳守で相談に乗ってくださいます。

病気の理解も進みました。今考えると、自分の疾病に対する知識があまりにも欠如していました。利用者さんの中には同じ病名の診断を受けている方もおられ、理解の進んでいる方がいたことで、勉強をすることを始めました。今にして思うと、病気を知ることが怖かったのだと思います。その点、背中を押してもらった形です。数多くの情報源のなかには誤解を招きかねないものも少なからずありましたが、いろいろなことを試して体験してみること、主治医とよく相談することで、自分に合ったやり方をひとつづつ増やしていきました。今では、何よりも入眠時間が大事だということがわかっており、夜型から朝方の生活になることで、かなり改善がみられています。一日のうちの疲れをその日のうちに回復する手順がわかったのです。必要性を理解したことで、自分の甘さがなくなって続いているのだと思います。最終的には1年間無遅刻無欠席を達成することができ、大いに自信を持つことができています。余談ですがこの原稿も朝の時間を使って書いています。

通所が安定し自己理解ができると自分取扱説明書の作成が待っています。これは疾病が再発しないために、自分自身のものの見方のくせや苦手な場面、不具合の原因を文書でまとめるものです。弱みや過去の苦い体験と向き合うことは苦しみを伴いましたが、スタッフの方との対話により、客観的な事実が少しずつ明らかになりました。結果今では対処法が確立されています。一方、強みについても整理がなされ、自己肯定を強める効果もありました。どれも大切な事柄ですので定期的に見返して、忘れないようにしています。

キャリアに関しても、自分自身に強みなどないと感じていましたが、これまでの振り返りを丹念に行うことで、できることをまとめていくことができました。キャリアカウンセリングで職務経歴書をブラッシュアップすることで自信が付き、複数社から内定を頂くことができました。

そして、見事第一志望の会社に就職が決まりました。

以上のように、自らの気づきをまとめて、再発の防止に充てる場所です。簡単ではありませんが、スタッフさんが寄り添って下さいますし、利用者間でのサポートもありました。自分自身のことをゆっくり考える機会というのはそうそうあるものではありませんし、ひとりの力では限界があります。やってみる価値はあると思います。