卒業生の声(リワーク/転職)

S.Sさん(40代:男性)

私は、リファインを卒業しました。

とても晴れやかな気分でこの文章を書いています。

 

しかし昨年会社を休職することになった時の私は、暗闇のどん底にいました。

 

ある日より仕事中に動悸が止まらなくなったのです。内科と心療内科を受信した

結果、自律神経失調症と診断を受けました。

 

それまでの喧騒な社会人生活から一変し、週一回の通院以外は家に引き籠る毎日

を過ごすこととなり、社会からの乖離に不安を覚えていました。

 

そんな時、心療内科医から紹介されたのがリファインでした。

就労支援施設というのがどういう場所か、全く知識のなかった私は

大きな不安を抱えながら恐る恐る体験入所を申し込みました。

するとそこには、思い描いていたイメージとは全く別の世界がありました。

 

利用者の方々はとても生き生きと生活されており、やる気に満ちあふれて

おりました。

それを支えるスタッフの方も大変親切で、かつ真剣に利用者と向き合って

いました。

そう、そこにいる全員が真剣そのものなのです。

 

私は迷わず正式入所を選びました。

しかし正式入所するには、公共団体に必要な書類を提出しなければ

なりません。役所とのやり取りに慣れておらず、手続きに戸惑い

ました。

しかし、スタッフの方から手厚いサポートを頂いたお陰で、スムーズ

に書類を揃えることが出来ました。

 

リファインでの1日はラジオ体操と視覚機能トレーニングから始まります。

その日の担当者(利用者内で持ち回り)が皆の前に立ち、

体操とトレーニングを先導します。実際に自分が担当を体験すると、

緊張もありますが、人前で話をすることの訓練になります。

 

さて実際のワークですが、大きなテーマに沿って個人の意見をまとめ、

それをグループ内で発表します。これは自分の意見を相手に話す事と、

他人の意見を聞き、それを尊重する事の訓練です。

 

そんな毎日を過ごしていた私ですが、ある日「自分の取扱説明書」

(トリセツ)を作成するよう言われました。

トリセツとは自分の過去を振り返り、自分がどのような気質、性格かを自己

分析し、何故自分はメンタルダウンに至ったのか、再発防止するには

どうすればよいかを考え、文書にまとめたものです。

 

自分と真剣に向き合い長い時間を掛け対話するという、今まで経験し

たことがなかったことで、始めは全く筆が進みませんでした。

 

自分という人間が分からなくなり、進むべき道を失いかけていた私を

支えてくれたのは、やはりスタッフ及び同じ利用者の方々でした。

スタッフの方はいつでも相談にのって頂きましたし、利用者の方から

は自分達のトリセツ作成経験を聞かせて頂きました。

 

大勢の強い味方に支えられ、トリセツを完成させた私を次に待っていた

のは就労トレーニングでした。

これは実際に、とある企業に一定期間通い、実際の業務を通じて精神面、

身体面が就労に耐えられるかを確認するというプログラムです。

長期間仕事から離れていた私はこのトレーニング前、「長時間の労働

に耐えられるだろうか」、「相手の企業の方とうまくコミュニケーション

が取れるだろうか」と不安ばかりでした。

しかし実際にトレーニングに入ると、これらの不安は自分でも驚くほどに

解消されていきました。働くこと、人と話す事が楽しいと思えたのです。

リファインでの日々のワーク、悩みに悩んだ末に完成させたトリセツが

私を強くしていたのです。

 

正直な話、リファインに通所しなければもっと早く会社に復帰すること

が出来たと思います。

しかしそれでは自分自身何も変わらず、すぐにまた疾病を繰り返していたか

も知れません。

 

リファインという寄り道をしたことで新たな自分を発見し、様々な角度で

自分を見つめ直す機会を得たからこそ、大きな自信をもって復帰する覚悟

が出来たのです。

 

身体はスポーツジム等で鍛えることが出来ますが、自分の本質を鍛える場所は

中々ありません。その一つがリファインだと私は思います。