卒業生の声(リワーク/転職)

I.H.さん(40代:男性)

私は、35歳のときと45歳のときの2度うつ病にかかり、2度目のうつが発症から2年たっても改善しないことからHPで就労支援施設について調べ、そしてリファインのことを知り、丸1年間通所をしました。

私の1度目のうつは一般的に「昇進うつ」と言われるものでした。当時勤めていた会社で執行役員兼営業部長に昇進したのですが、社員40名強の小さな外資系企業だったため、実はこのときが部下をはじめてもつときでもありました。そして私は1人のヒステリックな部下にあからさまに嫌われてしまい、かなり心をすり減らされてしまいました。悪いことは重なるもので、私の昇進と同時に会社の業績が悪化し、そのプレッシャーにも悩まされました。結局私は、執行役員・部長・管理職(部下マネジメントをはじめとしたチームマネジメント)の3つの役割を果たすことが出来ず、昇進後半年で休職し、そしてその半年後に退職をしました。

2度目は別の外資系企業に転職して5年目のことでした。原因は社長自らによるパワハラでした。そのときも私は営業部に所属していたのですが、私が率いるチームは戦略立案と売上予測を行う部署で、最前線の営業チームは他にあるにも関わらず、社長は業績が悪化すると彼らのことは全く責めずに、私のことだけを悪しざまに会議の場で責めるのです。そのため私はせっかく寛解していたにも関わらず、2度目のうつになってしまいました。私はその会社を逃げるように退社したのですが、うつが治っていない中転職してしまったせいで、次の会社を4か月、そしてその次の会社も3か月で辞めてしまい、藁にもすがる思いでリファインに駆け込んだのでした。

世の中に多々ある就労支援施設の中でリファインを選んだのは「ビジネスパーソンに特化した施設だったから」というのが私にとっての理由でした。他の施設であるようなパソコン訓練や卓球などのプログラムはなく、ひたすら『ワーク』と呼ばれる4~6名が1つのグループになって討論をする形式で、自己理解や他者理解、認知と行動の乖離についてやビジネスコミュニケーションなど、多種多様のテーマについて討論を行なうものでした。ビジネスパーソンに特化した施設だけあって通所されている方のレベルもかなり高く(高学歴な方や有名な会社で管理職を勤められた方はもとより、弁護士や会計士の方もいらっしゃいました)大変刺激的な毎日を過ごすことができました。

そしてリファイン通所の集大成と言えるものが自分取扱説明書、通称『トリセツ』と言われるものです。これは自分の人生を幼少期から振り返り、自分の気質や性格、行動のくせなどへの自己理解を深め、なぜうつになってしまったのかを根本原因から探り“再発しない”ように自身の認知のゆがみをどう変えていくのか、自分の気質とうまく折り合いをつけて生きていくのかを書くもので、人によってはパワポ100枚以上の大作になるものです(ちなみに私は70枚弱でした。ワードで書かれる方もいらっしゃるのでパワポに苦手意識がある方もご安心ください)

トリセツを書く中で私が「神経質」な気質を持っていること、ゆえに他人との関係の中に葛藤を生じやすいことに気づき、上記私のうつの要因となった『ヒステリックな人』『パワハラな人』にどう対処すればよいかの対策を練り上げました。また自分がこれからどのような価値観を大切にし人生を歩んでいきたいかや、自分の心身がどのような状態になったらストレスが危険レベルまで上がっているかの判断基準、それを和らげるコーピングと言われるストレス解消法までつくり上げていきました。これから社会復帰をするにあたり、半年強の時間を掛け、センター長や代表と散々討議させていただきながらつくりあげていったトリセツは、私の一生のバイブルになることと思います。

トリセツが完成すると、離職組は就職活動、復職組(会社を休職しリファインに通われている方々)は就労トレーニングに入ります。私は離職組だったので、キャリア開発の先生と『羅針盤』と呼ばれる再就職にあたり自分が行きたい業界、会社(日系か外資か、歴史ある会社かベンチャーかなど)、譲れない定性・定量的条件(人によっては年収だったり、残業時間の長短だったり色々あると思います)などについての指標を整理し、それから就活に入るのです。しかしながら、就活は羅針盤に書いた希望通りに進むほど甘いものではありません。特に私の様な40代後半、直近2社を3~4か月で辞めている、無職期間が1年近くある人間には大変厳しいもので、私は羅針盤を途中で修正する必要性に迫られました。

その際にも指標となったのはやはりトリセツです。繰り返しになりますが、2度と“再発せずに”自分にとって幸せな人生を過ごすためには何を変更し、何を貫けばよいかをトリセツを見返し、ここでもキャリアの先生や代表と討議させていただきながら、修正した羅針盤に見合った会社を選ぶことができました。結局私はこれまでとは違うキャリアに進むことになり、年収は大幅にダウンしましたが、上記の過程を踏んだおかげで、自身が納得できる就職先を選ぶことができた、と思っています。

私はリファインに通うまで、2度うつになってしまったことを「運悪く、ひどい部下や上司(社長)にあたってしまったせいだ」と自分の不幸を嘆いてばかりいました。でも今ではそれは私の対応次第で、彼らはひどい部下にもひどい上司にもなっていなかったことに気づいています。彼らは確かに極端な性格の人だったかもしれませんが、自分の関わり方次第で、自分がうつになってしまうほどこじれた関係にならずにすむことが理解できているからです。

長くなってしまいましたが、最後にこれまでに挙げた以外のリファインの良さをお伝えします。それは、共に通所する仲間です。皆うつという苦しい経験をしてきているからか、皆さんとても親切で、優しく、そして優秀です。しかも皆さん「本当にうつなの?」と思ってしまうくらい明るく元気です。40代後半になってこんなにも素晴らしい仲間に出会えたのは、私にとってかけがえのない財産です。彼らとは今後もよいお付き合いを続けさせていただければ、と心から思っています。

最後の最後になりますが、この体験談を読まれた皆さんが、ファインに通われ、元気になられて社会復帰できることを、心よりお祈りします。

そして私を1年間の長きに渡り支えて下さった代表、センター長はじめリファインの職員の皆様への感謝の言葉を記し、私の体験記を終わらせていただきます。

本当にありがとうございました。